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片田舎で働くシステム管理者の日記 ver.2

日常の由無し事を書きつくっています。

ミネルヴァのふくろう

Die Eule der Minerva beginnt erst mit der einbrechenden Dämmerung ihren Flug.

という言葉がある。翻訳すれば「ミネルヴァのふくろうは黄昏に飛び立つ」となる。ミネルヴァのフクロウとはヘーゲルの「法の哲学」の序文に登場する。ミネルヴァは知恵の女神(知識の女神に非ず)。フクロウはその使者である。ヘーゲルの研究の大家の方々の目に付くとは思えないので、解釈については私なりの解釈で書かせていただくと、

人は一日の終わり(夕暮れ、黄昏)には、その日の失敗を積み重ね、何故そうなったかを考えて賢くなっている。その賢さ(知恵)を集めるのがミネルヴァのフクロウである。という事を転じて、様々の知恵の集合が新しい知恵の源になっていくと言うことが考えられる。実際には「法の哲学」では別の意味合いも含まれてい、今日(こんにち)的な私の意訳を含めた意味では無い本来の意味は別の所にあるのだが、今回はこの点については触れない。興味があるときはヘーゲルの著作をいくつか読んでみるのが良いかも知れない。国内におけるものでは牧野紀之先生の著作などがよろしかろうと思う。元々、簡単な話では無いので読むのも大変かも知れないが、読み応えだけは保証できる。

私はこの「ミネルヴァのふくろう」とは「知恵の象徴」であると思っている。そして、黄昏(夕暮れ)とは古い知識という事だけでは無い。人生の事でもあるように思う。「おばあちゃんの知恵袋」という言葉があるように含蓄された知恵はその人生の時と一緒に蓄えられていくのだと思える。そして、黄昏から夜へと進み、夜明けを迎えるのは死である。その全てとは言わないが、いろいろなモノが失われていくのだ。伝承という言葉があるように伝えられていくモノはあるが、経験を含めた知恵は完全に同一の形に他者に受け入れられるわけでは無い。このこともまた、事実ではあるだろう。このことを思い出すときに、私の中で紐付いているのは任天堂で数々の名作を作られた、故・横井軍平氏の言葉である「枯れた技術の水平利用」という言葉である。「枯れた技術」とは言うなれば、長く使われて黄昏を迎えて、その終焉を迎えようとしている技術である。あるいは取って代わられるかも知れない技術。それを別の角度からスポットを当てて、別の方向へと転換し、再度の命を吹き込む。つまりは、「枯れた技術」は知(知識)であり、「水平利用」という言葉が知恵と同意であると思っている。多くの天才が知恵を持って、ドラスティックな変革を世に問う。彼らの発想の最初は思いつきかも知れない。そして、その推論を理論や実験で埋め合わせていき、合理的な答えを出すのだ。不足する知を後から集めて行く。彼らはある分野には精通しているが、他の部分に脆かったりということがままある。無論、そのようなドラスティックな事を行う人々であるから、他を切り捨てて注力した結果だろうか。
振り返って私はどうか?私は私自身が凡人である事をよく知っている。私の能力(があるとするなら)の多くは才能によって培ったモノでは無い。経験や知(知識)を集合した結果にすぎない。天才的な発想とは縁遠い所で生きている。縁遠いからこそ博覧強記足らんと夢見ている。知を求める道は多くあって良い。才気煥発の天才はその道を行けば良く、そうで無ければ博覧強記を目指して多くの知を集合し、それを経験で料理をするほうが良い。出来ない事を嘆くのは簡単だが、どう考えても前に進むと決めたときに見えてくるモノがあるように思える。そこをこそ目指すべきでその時に目の前に「ミネルヴァのふくろう」が降りてくるのではないかと思うのだ。

私も再度の家庭を持った。娘も抱えた。黄昏を考えるには早い年齢なのかも知れない。しかし、黄昏はいつか訪れる。そのいつか訪れる黄昏について考えを向けないことは無責任では無いかと思うのである。責任を取ることに早い遅いは無い。ともかく、未だに現れない「ミネルヴァのふくろう」の登場を全力で待っている。私の「ミネルヴァのふくろう」がいつ来るのかは私には想像も付かないが、その時には黄昏の寂しさを知ることが出来るかも知れないし、今よりはましな人間になっているに違いない。

そういえば、黄昏(夕暮れ)の寂しさには牛乳が似合うんだそうな。乾杯しましょう。いつかの黄昏に。

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プロフィール

HN:
filemente
性別:
男性
職業:
シス管(半分引退)/パチプロ(廃業)/総務経理系の管理部門(現職)
自己紹介:
田舎で一人、中小企業で、システム管理をしているはずが、いくつかの僥倖もあって、ちょっとポジションが変わったことだけ付け加えておく。格別の特徴は無いが、体型は完全なメタボリック体型である。近頃、とみに体重が増えた。また、歳を重ねる毎にアレルゲンが増してもいる。

学生時代から、バイトも含めて、随分と様々の職種をこなしてきたが、偶然にもシステム屋をしている。向き不向きでいうとそれほど向いているとは思わないが、それでも食い扶持を稼ぐためにはしかたがない話なのかも知れない。

結婚をした経験があり、独り身であったが、こんなメタボなバツありのところに遠いところからわざわざ嫁に来てくれる奇特な女性があった。よって、独り身では無くなった。二人身である。二人分の食い扶持のために働き続ける所存。止まらぬ汽車はまだまだ進むのである。

更に、娘まで授かってしまったので三人で暮らしている。家族となった。元来子供好きだったが、半ば諦めていたのでこれもまた僥倖である。家人には頭が上がらない。

というところで、更に、転職と転居を思い切ってしまったので、同じ片田舎であっても、南から北へ移動した。それは良いことかどうかはこれから答えが出るのではないか。

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