スパゲティ・ナポリタンというのがある。割りと日本人には認知度が高いのではないかと思うが、イタリアには存在しないという話は有名になってきている。
レシピは様々あるが、ハムか、切ったウインナソーセージあたりを多めの油とバターで、薄切りの玉ねぎと炒めて、他にも、コーンやグリンピースやピーマンのような色味の良い野菜やしめじやマッシュルームのようなきのこ類を加えて、ケチャップを投入し、茹で置きの麺と混ぜたもの。
という具合ではないかと思う。こだわろうと思えば、いくらでもこだわれるのであるが、こだわりすぎればそれは別のものという気がして、近年、ますます、数の減った喫茶店(純喫茶・田園が毎年なくなりつつある。この話は別に)でピザトースト(これは別の機会に)と共に名物として供されることの多いメニューの一つであろう。
この中で最も大事な部分は何か?といえば、人により異なるとは思うが「茹で置きの麺」であると私は確信している。茹で置きの麺とは何かというと、スパゲティの麺を大量に茹でた後に湯切りをし、場合によっては水で締めて、その上でサラダ油をかけておく、そうすると麺のほぐれが良くなり、保存性が増すのである。このようにして、事前に準備した麺を利用して作ることが多いのだが、この「茹で置きの麺」こそが旨さの秘訣であると私は思っている。
家庭で作る時にわざわざこの「茹で置きの麺」を作ってから作るという人は少なかろうから、何やらちょっと「本格」じみたスパゲティナポリタンになるということで昔を思い出す人には、逆に物足りなさを感じるもので、私のオススメはパウチされた常温保存即席麺タイプの「ナポリタン」である。汁気の少ないソフト麺の様な見た目に酸味の強めのケチャップ味の調味料が付いている。三色入り焼きそばのソースのような粉末タイプとなっており、サラダオイルで具材と共にその麺を炒め上げたところに、その付属の粉末調味料を振りかけて、少し長めに火をかけると少し焦げのようなものが出来て香ばしい。料理に「焦げ」が禁物であるというのは当然のことであるが、この焦げが香ばしさを誘う。この少しの焦げはかまど炊きのご飯のお焦げの良さに繋がるもので、是非とも、少し焦げたところを作りたい。では、以下に、私がオススメする完成版の豪華版ナポリタンのレシピを書いてみよう。
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材料:即席麺タイプナポリタン2袋、ウインナソーセージ3本(あまり高級でないものがよい)玉ねぎ1個(小ぶり)、マッシュルーム(缶詰でよい)、しめじ(半株)、ケチャップ、塩、胡椒、サラダ油、バター、玉子1個、チーズ(お好みの量)
1)ウインナを斜め切り、玉ねぎをスライスし、マッシュルームの缶詰を水切りする。しめじの石づきを取ってバラす。即席麺の麺を袋から出して30秒ほどレンチンする。
2)火は中火(それなりの弱さ)。フライパンにサラダ油を大さじ1入れて、ウインナ、玉ねぎ、しめじの順番で炒める。ウインナ、玉ねぎ、しめじに油がまわったところで、麺を加える。全体に具材が混ざり、油を絡めるようにする。ここでコショウを強めで、塩コショウを軽くしておく。
3)火を弱火(かなり弱い)水切りしたマッシュルームを加え、粉末調味料を加えて、さらに、よく混ぜる。フライパンを動かしながら、全体をぐるぐると混ぜる。この段階で味が薄い事が多いので、ケチャップを加えて味を整える。最後に強火にし、少し香ばしさを出すと良い。
4)炒め上がったナポリタンを耐熱皿へ移し、上からチーズをかける(シュレッドタイプのものが便利であり、よく「トロけるチーズ」という名前で売っている)。ラップをし、レンチンで2分程でチーズが溶ける。その間に今使っていたフライパンを洗い、新たにサラダ油を引いて玉子を焼く。出来れば少し多めの油で白身の縁がフライドエッグのようになるのが良い。上手く出来なければターンオーバーでも良いとおもう。
5)レンジから取り出した先ほどのナポリタンに目玉焼きを乗せて、その上からケチャップを少々かけて完成である。
コツとしては前半ではそれほど長い時間炒めないこと。後のレンチンする時間などがあるので、最終的に火が通るのである。そして、ケチャップには少し固めの目玉焼きが合うように思うので、半熟にこだわらない方が旨いと思う。
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かくして、小麦の国(群馬県)からやってきた家人に「旨いとは思うが、これはスパゲティではない」と否定された即席麺を使ったナポリタンが好きである。スパゲティの中では「カルボナーラ」と共に両巨頭として私の評価は高い。
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