前回の続き。前回はある商材は組み立てて売るのが本当でメーカーはそうしているが、それを逆にパーツに戻していくことで、それが商品となって流通しているという話。前回、それに関するシステム化をいくつかの会社が取り組んだのだが、簡単に進まなかったと言う話だった。
そして、それは簡単に進まなかった。その原因としては前述の原因(つまりはプロセスとして逆であるということ)に加えて、「販売」「仕入」という観点で考える人が多かった事。売上を伸ばし、数字を大きくする事が力であるという考えである。「利益の追及」は大きな課題なのだが、そのことについて色々と言い出したのは不景気が大きい原因となっている。大手企業であって、内部留保が巨大な企業や健全な経営を行っている会社はそれほど多くは無いのだ。借り入れ等で資金繰りが行われているなど、財務諸表をよく見れば判る話だが、業界的に企業では無く、商店の感覚が抜けきれない人々が多い業界ではそのような理屈はそう簡単には理解されない。だからといって、そのまま放置しているわけには行かない事は判っている。じゃあどうするのか?という話が多く発生した。そこでいくつかの会社は対応を考えて、自分たちのやっている仕事を電子化することを始めた。結果、いくつかの会社でそれなりの成果が出た。しかし、それは「ある程度の諦め」を含んだものであって、その品物の来歴を完全に追うことは困難だということ。
100個の棚があるとして、その棚をばらすとする。ねじを外し、ナットを外し、棚板とその他の部材に戻す作業で完全にナット一本までの本数を管理する手間というのを考えてみると判る。速度を求められるとき、その作業はそれほどには簡単なモノでも無い。ナットやネジが一本ぐらい無くなることはあり得る話だと想像が付く。それを無くさないために多くの手間を取るのだけども、その手間が大変に膨大なものになって来るので、そこまではしないというのが現場の話ではある。この対応策が前向きでは無いという考え方はあるが、逆の発想をすれば、無くなる可能性を見越して、いくつかの部材を多く用意しておく方が、作業時間の短縮に繋がる可能性があるという事でもある。解決策は別にあると言うことであるし、同一方向からの管理態勢の強化では無い解決策があるのだと思ってる。この別方向の解決策を考えるというのは有効で自動化出来ないと思うことがこのタイミングで自動化出来る事例は多数存在する。
そして、人間は両手でそれを調整する。しかし、コンピュータにはそんな機能は無い。考えるコンピュータは未だに完成を見ていない。恋愛をするプログラムを完成させるのは無理ではない。それは恋愛を方程式的に表現できなければならない。それは不可能である。人間のの脳で判断していることを完全にコンピュータで再現は出来ない。それは勘や予感と呼ばれるものである。そんな勘や経験を完全に再現するのは困難すぎる。そして、五体満足である場合において、手足の動きは機械にはそう簡単にはそれを再現できない。これは思考パターンとその結果両方が人間の柔軟性や経験、勘などには遠く及ばないという事を意味する。その点について解決することは困難だが、その答えを出すためのヒントとなるデータを大量に効率的に整理し、提示する機能においてのみ、コンピュータは人間を凌駕する。そこを強化する。そして作業として人間が行っていたことを最大限置き換える事で作業時間を短縮し、出来た時間で別の作業や別の思索や施策を行うことで生産性を上げるというのが基本線である。
上記のような事を考えた上で、今回、私としては別方向のアプローチをギリギリまで取らずに管理するという作業を徹底する方向のシステム設計をしている。これは一つの挑戦だし、関わる方々に一時的に大きな負担を強いる事になる可能性は高いが、一度、その方向で限界に近いところまで進めて、どうしても出来ない部分については別途の対応を行う予定として、既に決定を得た。まずは、6月末までに全ての要件定義を始める予定。この件については私なりの考えを書き留めて、次の仕事に生かす意味を込めて、通常のドキュメントとは別にブログやSNSに考えを書いてみることにする。流行している手法をいくつか新たに加えて行くことにもなる。完成すると網羅的に在籍する会社の業務を管理するERPパッケージとして完成を見るように思う。そして、それは同業他社へも再び出すことが出来るだろう。
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