オフィスが変わった。転職したわけでも無いし、経営者(自営業者)でも無い。諸事情で支店への期限出向を受けて、しばらく支店へ出社することになる。場所はそれほど遠くも無い。自動車で15分ぐらいであろうか。さほどの時間は掛からない。自転車でもよろしい距離である。
この支店は発足時、建物は既存の建物を買い取ったが、内部のレイアウトや配線、設備設計などについて私が担当した建物で自分としては割とよく出来たと思っていて、4年ほど前の時点で無線LANの導入、IP電話の導入など色々と手を入れていた。ぼちぼちの設備になってはいる。苦労なく入れるものと思っていたものの気が付いたところがそのオフィスに勤務する人々のレイアウト変更などで私が設定したものはだいぶ無駄になっているようなところもあって、それらを正しつつという事になるのでは無いかと思われる。
勤務地を変えることは別に悪いとは思わない。私自身、自分の端末があればベターだし、自由に使える端末とネット回線があれば、仕事の7割ぐらいは事足りる。大げさな話では無く、ノマドワーク(最近、この言葉も微妙になってきましたね)も出来るだろう。特にそれをしたいとは思わない(気晴らしには良いかもしれないが)けれど、そういう環境を作っておいたことは、今回の場合は良い影響があったように思える。
今のところ、三ヶ月で何とかしてくれ(というのは、いろいろな面の見直しなど)と言うことだそうだが、私としてはそれはそう簡単では無いと思えるのだ。仕事のスタイルは固定された定型業務だけで成り立つわけでは無い。極論で言えば、マニュアル化された定型業務こそが最も効率良いのはわかっている。それは人材派遣会社がよく使う方法で、出来るだけ、定型化し、マニュアル化することによって、人間を入れ替えながらでも現場が廻る事が良いとされる。しかし、それは常勤者居ない場合であり、実際にはそう簡単には行かないというのが正直な感想である。
人間味で乗り切れる事は世の中にいくらでも転がっている。これほど様々を自動化、機械化しても、対面販売の店が主なのは設備投資的な問題だけでは無い。全部が自動販売機のスーパーが出来たが潰れたと言うこともあるし、完全な無人化には今のところ至っていないというのが流通業界の答えでもあり、一定以上の規模を出せないお店については、従業員が顧客の名前を憶えておくなどの逆方向のサービスによって、利益を上げる店も少なくない。どちらか一方が正しいと言うことでは無い。しかし、片方へと傾く必要もあるまいし、最適解は社会情勢や地域性によっても大きく異なる。というのが、私の持っている感想ではある。
そして、それはシステム開発の現場においてもある程度当てはまるのでは無いかと思えるのである。ある業界向けのシステムを開発とメンテナンスを続けている。この仕事が今の業務の3割ぐらいを未だに締めているのは、ヒューマンリソースの問題もあるが、何よりも、最初に小さなシステムから始めたことが大きい。最初は以下の要件を満たしたシステムであった。
1)伝票発行
2)伝票記憶
3)伝票修正
4)日付別集計
5)取引先別集計
の5点である。この程度であれば、多少の知識がある人ならエクセルだけでも作れるだろうし、アクセスを使って作る、ファイルメーカを作って作るなどの選択肢もあるだろう。または、書店でいくつか本を買ってくれば、その動作速度や安全性や安定性を考えなければ、多少便利な作り方をしても一週間程度で作れるだろう。SE、PGと名乗る者ならば、一日、二日の仕事であろう(クオリティを問わなければ)。
これにクオリティや業界慣習を組み込んだモノを作った。業界慣習については同業他社も含めて、いくつかの会社にご協力をいただき、また、各所に必須の設備との連動についても可能なモノであることが必須とされた。そちらの設備関係の業者ともやりとりを繰り返し、そうして完成したシステムは昨今のネットワーク化についての対応がその時は考えられておらず、昨今の事情を鑑みて、ネットワーク化、他拠点対応などの処理も加えられて、大きなシステムとなり、一昨年、昨年のメジャーアップデートでそのシステムはある程度の完結を見たと言って良い。新システムでは上記の機能に加えて、
1)顧客管理機能
2)請求書管理発行
3)在庫管理
4)担当者別、車輌別、地域別などの各種パラメータによる集計機能
5)DM発送機能(宛名印刷・Eメール発送・FAX送信)
6)自動現金支払機との連動
などの機能を加え、ネットワーク対応などを行った。このシステムはある業界に特化しているが類似の業界については簡単なカスタマイズが可能になっている(伝票や帳票などはフリーデザインで作れる)。しかし、一部でそれが対応できない商材があり、その商材の取り扱いについて、いくつかの商流がある中で交流はあるが、その商流に特化したERPは長く開発されてこなかった。その商流の商品は日本が世界に誇る商品であるし、多くの人が関わっている業界でもあったし、考え方は他の商品と何の変わりも無かった代わりにその行き先については国内だけに留まらず、生活に密着していたし、必要不可欠な商材であったと言うことでもある。そこにメスを入れるのは容易ではなかった。同様の「プロセス改善」には日本を代表する大企業も挑戦し、なかなか、成果が上がらないと言う状況を前職の関係から少しばかり耳にしていた事でもあった。「メーカー」側はパーツを集めて組み立てる。私が関わっている側はそれをもう一度、パーツに戻して行く作業であり、そのパーツに戻ったモノ、または、途中のモノは世界レベルで見れば十分に価値あるものであったから。
続きは明日に。時間が足りない。
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